おわん
通りがかりのワゴンセールで引き寄せられ。
悩んで悩んで、大と小をひとつづつ。
茶碗はなく、こちらのおわんでご飯も丼物もおみそ汁もスープもいきます。
毎日大活躍でしたが、数百円で買ったのでプラの安物かと思って、ある日ちょっとくらい~とレンジにかけてしまったのです。
そうしたら、糸尻から漆がぺりっと剥がれてしまい・・・。
そこから大慌てです。
どうすれば直るか、新しく買うならどこにあるか、スイッチオンです。
探せど探せど、この形は量販していないようで、見つかりません。
銘木椀も似ていますが、ちょっと違う。
銘木椀もいいものですから、いざとなったらこちらにするか・・・。
もう手に入らないなんて、この世の終わりです。
泣きながらネット検索をして、塗り直し、という技を発見。
でも全部塗りなおすには、漆が乾くまでに1年とかかかることもあるそう。
そして、この刷毛目が同じように再現されるのかも素人にはわかりません。
幸い傷は裏側の見えないところですから、上から重ねるくらいの補修でもなんとかいけそう。
木地が出てしまっているので、一刻も早くふさがなくては!
「漆器修理」を調べても、どちらも豪華絢爛金銀蒔絵の年代物取り扱いです。
そんなところへ、電子レンジで・・・なんて、恥ずかしくて言えません。
なんとか、こっそり直す方法はないものか。
でもこの小指の先ほどの範囲に漆を塗るのに、漆何キロもいりません。
そしてかぶれでもしたら、何をやってるのか自分、とさらに凹みそう。
漆塗り教室に潜り込んで、漆を塗らせてもらう?なんてウルトラ技まで頭をよぎったところで、釣り道具に漆を使うらしく、かぶれにくいカシュー漆というものが少量で手に入るという情報入手。
早速取り寄せ、見よう見まねでやってみました。
何度か塗り重ねを繰り返し、剥がれた部分の段差はありつつ、きれいに仕上がりました!
かぶれもなし!
よかったーーー!
そんな愛着ある一品です。
そんなこんなしたのち、いつもの無印良品でボウル型汁椀、発見。
形は大とおんなじです。
九死に一生を得た我が家のお椀ですが、同じ形はもう手に入らないものと思っていましたので、予備に・・・と貧乏根性が囁きます。
でもこちらはウレタン塗装。
実物を持っても、ツルっとサラっと物足りない印象です。
毎日のように通い詰め、持って、戻して、持って、戻して、悩んでいましたが、ネットストアで見るともうない!
ということは、廃盤。店舗在庫のみ。
これは焦ります。
手に汗握りながら、とりあえずひとつ買い、ひとつでは何なので、後日追加で最後の一点お買い上げ。セーーフ!
ところが何度か使いましたが、やっぱり漆塗りがよい。
やっぱり焦って買ったのは失敗だったのか・・・と落ち込みましたが、形が好き、持ちやすい、というのは間違いない。
せっかく形は気に入っているのだから、これも塗りなおせばいいんだ!とひらめきました。
今度は全塗り直しなので、私の恥さらしはなく、ちょっと気取った感じで問い合わせ。
漆が好きでぇ~みたいな顔していけば、漆器をレンジに入れた馬鹿者とはバレないはず。
そうして、親切な福井の漆器屋さんで生まれ変わって帰ってきました。
正直、普段はもともとの大小で間に合っているので出番はありません。
でもこれでおわん難民にはならないで済む、という安心感を手に入れることができました。
茶碗もないのに、おわんだけ充実している我が家です。