母来たる
北海道の母が、泊りにきました。
父の一周忌を過ぎて、すこし出歩かないと、と思ったようです。
ひとり好きの私は、家族も苦手。
本当は家に人を入れるのも好きではないし、何日も人と過ごすなんて疲れるし、外では付き合うからホテルにでも泊まってくれればいいと思います。
でもきっと、ホテルを取るほど出掛ける気はない。
その辺の心境も想像できるだけに、ホテルを勧めると、こちらに来ること自体を拒むことになってしまう。
この状況で無下に断るのも大人げないし、たまには人の子らしいことをしておかないと、という心理的負担もあり、来るもの拒まず、致し方なし、です。
寒いし、雪も降ったし、と先延ばしになることを期待しましたが、とりあえず一回行ってみようという決心変わらず。
一度経験してしまえばハードルが低くなる、というのは、母の一人旅も私のホスト役も同じ。
もしかしたら、来るのを止めるかもしれないし、と思ってギリギリまで注文を待っていた客用マットレスも、ため息とともに注文しました。
保管も処分も面倒なのに、欲しくもないものを買うのは本当に不本意です。
そんなに憂鬱なら断ればいいのに、そうできない微妙な関係。
憂鬱ではありますが、変わり映えのない毎日のスパイスとして楽しめばいい、と気楽な気持ちもありつつ、複雑です。
さすがの私も歳をとって、3泊4日やり過ごすことができました。
若かりし頃、早く早く家を出たくて、大学からは念願の一人暮らし。
その大学の入学式の前日、その部屋に母が泊まりました。
せっかくひとりになれたと思ったのに、たった一泊でもそれが嫌で嫌で仕方なかったのを覚えています。
それ以来です。
マットレスはミニマリスト界で人気のウワサの、アイリスオーヤマのエアリーマットレス。
これに夏用のシーツやリネンケット、二枚組の羽根布団を分けて使うことで、買い足しはこれだけで済ませました。
特別仲がいいわけでもなく、おしゃべり好きでもなく、会話が続かない気まずい数日。
さあ。そう。へえ。ふうん。
そんな返事しかできない私。
家ではテレビをつけて、しのぎました。
マットレスも買ってしまったし、手持ちのものでなんとかなることは実証しましたが、もうしばらく、お客様は結構です。