時間を知れ
仕事に関する助言というと、計画から始めなさいというものが多い。
まことにもっともらしい。問題はそれではうまくいかないことにある。
計画は紙の上に残り、やるつもりで終わる。
私の観察によれば、成果をあげる者は仕事からスタートしない。
時間からスタートする。計画からもスタートしない。
時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。
次に時間を管理すべく、時間に対する非生産的な要求を退ける。
そして最後にそうしてえられた自由になる時間を大きくまとめる。
したがって、時間を記録する、整理する、まとめるの三段階にわたるプロセスが、成果をあげるための時間管理の基本となる。
成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている。
あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは最も欠乏した資源である。
それが時間である。
時間は、借りたり、雇ったり、買ったりできない。供給は硬直的である。
需要が大きくとも供給は増加しない。価格もない。限界効用曲線もない。
簡単に消滅する。蓄積もできない。永久に過ぎ去り決して戻らない。
ピーター・ドラッカー『経営者の条件』